からきだの道の成り立ちと現在のからきだの道及びその周辺で見られる多彩な生き物たちを紹介します。
失われた雑木林
唐木田地区は東西に多摩丘陵の主尾根と府中カントリークラブ側の丘陵の雑木林に囲まれたのどかな谷戸でした。しかし、昭和58年多摩ニュータウン事業の新住事業(丘陵部)と区画整理事業(集落部)一体の宅地造成工事により、丘陵部の二次林のほとんどが失われました。
残された雑木林と回復されつつある緑
からきだの道予定地(約5ha)のうち、府中カントリーの東側はほとんど雑木林で、ここには「寺ノ入の湧水」があり雑木林とともに保全されました。このうち0.7haはからきだの道のために府中カントリーから有償譲渡され、また南側はほとんどが戸建住宅地の造成により生じた斜面や法面地でした。これらの造成地は新たに植栽されましたが、近年、クロマツやサワラなどの早期緑化木の衰退、枯損が進み、それに代わって付近の雑木林からのクヌギ、コナラなど実生が育ちつつあります。
希少植物
からきだの道の散策路でみかける希少植物です。群落もあれば、凛として一輪咲いている花もあり、散策する人々にひとときの癒しと憩いを与えてくれます。
キンラン
花色の黄色が林の中で金色に輝いて見えることから付けられました。
(花期:4~5月)
ギンラン
キンランに対比して花色の白色を銀色に見立てて付けられました。
(花期:4~5月)
タツナミソウ
北斎の名画の波のように同じ方向に花が立つことから付けられました。
(花期:5~6月)
ジュウニヒトエ
一本の花茎に花が重なって咲く姿を十二単に見立てて付けられました。
(花期:4~5月)
フデリンドウ
二年草で花を閉じた状態が筆の穂先に似ていることから付けられました。
(花期:4~5月)
タマノカンアオイ
常緑多年草で多摩で発見。常緑なので「寒」葉が「葵」に似ていることから付けられました。
(花期:3~4月)
多彩な植物
からきだの道の植生分布とランドマークとなる独立樹、季節彩る植物一覧を示します。
- 1月ツバキ、ウメ
- 2月タチツボスミレ、オオイヌノフグリ
- 3月シダレザクラ、ソメイヨシノ、アオキ、オオバヤシャブシ、クヌギ、コナラ、ケヤマハンノキ、トサミズキ
- 4月ヤマザクラ、オオシマザクラ、ヤエザクラ、アマノガワ、モミジイチゴ、カジイチゴ
- 5月ツツジ、ウワミズザクラ、ミズキ、ライラック、エゴノキ、アベリア、ナンキンハゼ、ミヤマナルコユリ、カエデ・モミジ
- 6月ガクアジサイ、ホンアジサイ、
ヤマボウシ、クチナシ、アカメガシワ、オオタニウツギ、ハコネウツギ - 7月ヤマユリ、ヤブレガサ、クサギ、リョウブ、トウネズミモチ、シナノキ
- 8月オニユリ
- 9月ハギ
- 10月シロダモ
- 11月サザンカ
- 12月スイセン、ツワブキ
蝶類
からきだの道で多くの蝶を観察することができます。
(左上)アカタテハ
(右上)ルリタテハ
(左下)アカシジミ
(右下)ミズイロオナガシジミ
からきだの道の鳥たち
4月下旬、鳥の繁殖期に入ると雄鳥のなわばりを示す鳴き声が聞こえてきます。最もよく聞こえるのはウグイスでしょう。シジュウカラとヤマガラもあちこちで見られます。大声で鳴いているのはガビチョウ、中国から輸入したのが逃げて繁殖したものです。
街中に出没してすっかり街の鳥になっているキジバトの大きな声も聞かれます。ヒヨドリとムクドリもよく見かけます。
砦山の後ろの藪の中ではコジュケイがチョットコイとわめいています。コゲラは小さなキツツキの仲間で樹の幹をたたきながら移動しているのが観察されます。冬の間群れていたメジロもどこかで巣作りを始めたようです。
5月半ばになるとホトトギスの声が聞こえてきます。冬には北海道で繁殖したアオジが南下してきます。この他、ジョウビタキ、ツグミなどがロシアや中国北部からやってきて冬越しします。(昆虫博士:篠永 哲)
シジュウカラ